Where is she

チカチカ光っている 目の前が

大きな丸かったり四角だったり だいたいは菱形だけど

大きな大きな粒の光の玉がぶわわわって目の前に広がっている

正式には今視界に見える全ての目ん玉に埋め尽くされている全てがいろんな形の光の玉で支配されている

暖かい

ずっーと変わらない暖かい

もう今ここで見えている形がどんどん角が取れていくように

だんだんと頭角を表すように

溶け出すように

目から溢れるものと一緒に

目ん玉に映るものは

なぁーんだ 屋上から見える景色だった

 

でもずっとずっと暖かい

もうずっと心がだんだん溶けていく

 

彼女は

キスするときに私の喉の奥から徐々に熱さを帯びて溶け出す喫煙の香りが好きだと言った

それは暖かいの?

そんなの聞かずに私は溺れる様に彼女に触れた

手をじっくり弄んだままに

身体の芯まで包むように

 

あの手を今握りしめていた事

身体の先端まで行き届く細い指から伝わる熱で気がついた

 

彼女の手を取って

カラフルな星の形を納めて

天高い屋上に立っている

 

見えるのは何もない

もう何も考えない

この先に何があるなんて誰も知らないし

せめて私たちはもう知る事さえ

知らなくていいのだから

 

確かきちんと、ちゃんとした、明確な

夢の時に見る飛び降りた

胃が浮くような感触がまだ身体に残っていた。

 

ぬくもりはどこだろう

あれ、溶け出したものが見つからない

どろどろになった煙草の残像をじっとりとかき集めるけど

それは3分の5も満たないまま

ふわっと宙に、まるで元あった場所かのように

引力で巻き戻されていく

 

彼女はどこだろう