そんなにミッドナイト

音楽というのは不思議なもので、

ジム帰りのシャワー後に新参者のスピーカーをなんとなくブルートゥースで繋げれば、

流れるその聞いた事の歌詞の無い音楽が瞬く間にオレンジカウンティーに位置する私の幾何的アパートメントをイマジネーションだけでミッドナイトなパリの小道にぽっと照らされている小さくて賑やかな地元に愛されるマドワゼールが料理を振る舞う、モダン的で田舎風な町の人気レストランを頭に出没させてくれた。それは絶対的におしゃれをともわなければいけない。ちょっとスキャンダルがあってもいい、程よいお酒で頬を赤らめながら小雨の中、楽しく踊っていても良い。もう、そのBOSEから流れる歌詞のない歌達はどんどん私を小道の奥へ奥へ連れて行ってくれる、知らぬ間に大通りに来てしまった、とたんに現実に戻される虚しさなどなく、リズムよくそこで密かに誰かが語りかけてくれるような歌が聞こえる、それはとても愉快な雰囲気を壊す様なものではなく、ピアノの心地よい重みに引き込まれて行く、あの小道の続きに。

これは、今までの虚無感などでは全くなく、現実逃避などでもなく、ただただ”そこ”に存在としてふっと現れて、私の体全体を脳裏まで残さずにとても楽しい夜にしてくれたに違いない、

ミッドナイト イン オレンジ群